本土とは全く違う沖縄のお墓参り

沖縄のお墓参りは、本土の作法と全く違います。そこには沖縄のあの世の考え方や宗教観も関係しているので、意味を知ると「なるほど!」と思うことも…。今回はちょっと不思議な沖縄のお墓参りを紹介します。

お墓

盆の墓参りの前には墓掃除の日がある

お墓参りシーズンというと「盆の墓参り」を思い出す人も多いはずです。そして盆の墓参りと言えば墓掃除ですよね?

もちろん沖縄でも「盆に墓参りをする」のが風習です。ところが沖縄では墓参りの時に墓の掃除はしません。「御先祖様をお迎えするのに墓掃除をしないの?」と思うかもしれませんが、墓の掃除をしないわけではありません。

実は沖縄では旧暦の七夕に墓の掃除をするので、墓参りの時に墓の掃除をしないだけです。しかも沖縄の墓掃除は、単に掃除をするだけではありません。墓のほかにも仏壇の掃除もこの日に行います。そして墓を掃除し終わったらご先祖様に「ご馳走を準備して家族みんなで待っていますので、ご先祖様も忘れずに家に来てください」と報告をします。

ここまでやってようやく盆前の墓の掃除が終わるので、墓掃除の日は一日がかりの大仕事になります。

お供え物の食べ物は重箱

本土でお墓参りのお供え物の食べ物は、基本的に故人が好きだったものを準備します。もちろん沖縄でも故人の好きな食べ物を供えることはありますが、これはお墓参り用の正式な食べ物ではありません。沖縄では「重箱」と呼ばれるお供え物用の料理があり、これをお墓の前にお供えするのが正式なやり方です。

重箱の基本はおかず重と餅重のセットとなり、おかず重×1・餅重×1のセットを「半クン」と呼びます。ほとんどの沖縄県民が半クンの重箱をお供えするのですが、これは正式なお供え物のやり方ではありません。正しくはおかず重×2・餅重×2のセットである「チュクン」を供えるのです。

なぜチュクンが正しいかというと、最も新しいホトケさまとそれ以外の古いご先祖様では、順位が違うからなのです。お墓の中の世界では、新しいホトケさまは何歳で亡くなっていても若者です。そのため先輩ご先祖様とは立場が違います。そのため新しいホトケさま用に半クン、先輩のご先祖様用に半クンを供えます。そのため正式な重箱のお供えは「チュクン」となるのです。

ちなみにお墓参りの後に仏壇にも重箱をお供えする場合があります。この時には先にお墓に重箱を供えた後、持ち帰って仏壇の前に重箱を供えます。ただしお墓にお供えした重箱をそのまま使いまわすのはさすがにマズいので、「ウチジヘイシ」と呼ばれるものを準備します。

ウチジヘイシは重箱に詰めたおかずや餅を1つずつ取り置きしたものです。重箱の中身を1品1つずつ皿に取り、ウチジヘイシのおかず・餅を補充します。こうすればすべての料理が1つずつ新しいものに交換されますので、重箱の中身をすべて取り換えなくても新しい重箱に取り換えたことになります。

ちょっと面倒な沖縄の風習ですが、先祖崇拝が強い沖縄ではご先祖様達が仲良く暮らしてくれることが子や孫の幸せにつながると考えているので、面倒であってもこうした風習を大事に守っているのです。

お供え物の果物はバナナ・リンゴ・オレンジの3種類

仏壇

本土でお墓参り用の果物といえばスイカやナシ、ブドウのように旬の果物を選ぶのが一般的です。ところが沖縄で墓参り用として果物を準備する時には、バナナ・リンゴ・オレンジの3種類をミックスさせるのが一般的です。しかもバナナは黄色く熟しているものではなく、青いバナナを使います。

しかもリンゴとオレンジは、合計した数を奇数にします。そのため3個、5個、7個の中から好きな数でリンゴとオレンジを準備します。皿に盛り付ける時にはリンゴとオレンジを先に並べ、その上にバナナをかぶせるようにします。この時のバナナの向きも独特で、バナナの房を人間の手に見立ててリンゴやオレンジにかぶせます。

この不思議な盛り付け方とバナナ・リンゴ・オレンジにこだわることにも、ちゃんとした理由があります。

リンゴやオレンジは子孫を表し、バナナはご先祖様を意味します。リンゴとオレンジの上にバナナを覆いかぶさるようにのせることによって、「子孫をご先祖様たちが手をかざして守っている姿」を表現しているのです。そしてご先祖様の大きな手をバナナで表現するためには、バナナの実が上に来るようにしなければいけません。そのためご先祖様へのお供え用であっても実が固い青バナナを使うのが沖縄流なのです。

変わっているが意味が分かると納得できる沖縄のお墓参り事情

沖縄は仏教の檀家制度がなかったため、仏教の墓参りの作法とは全く違います。しかも沖縄は先祖崇拝が長く受け継がれているので、ご先祖様にまつわる風習や作法がたくさんあります。その一つひとつはとても珍しいのですが、意味を知ると「なるほど」と思うこともたくさんあります。本土とはちがう沖縄のお墓参りですが、あなたの目にはどんな風に映りましたか?