沖縄ならではの面白い風習

独特の文化を持つ沖縄には、本州では見ることが出来ない面白い風習があります。思わず「なにそれ?」といいたくなるような風習も、意味が分かれば「なるほど!」とうなってしまうものがあります。

曲がり角には魔除けの石敢當を置く

石敢當

沖縄で道を歩いていると必ず目につくのが「石敢當」の文字です。石板に文字を彫刻したものをブロック塀などに埋め込んでいるものもあれば、直接壁に「石敢當」と書いてあるだけのものなど種類は様々なのですが、石敢當の文字を見る場所には「十字路や曲がり角」という共通点があります。

この「石敢當」という文字には魔物除けの意味があります。沖縄では魔物のことを「マジムン」というのですが、マジムンは人の住む地域にも平気で紛れ込んでいるようなのです。しかも人の目に見えないマジムンの方が圧倒的に多く、こっそりと忍び寄ってきては人に悪さをしていくのだといいます。悪さの内容には魔力の違いによって異なるようなのですが、交差点や曲がり角で人や車がぶつかってしまう事故も、実はマジムンのせいなのだといいます。

ところが道路の曲がり角などで悪さをするマジムンには、決定的な欠点があります。実はこのマジムンは、まっすぐの方向しか進むことが出来ないのです。そのため人間がこのマジムンに憑りつかれてしまうと曲がり角を曲がることが出来ず、事故を起こしてしまうのだといいます。

そんなマジムンに対抗する強力な魔除けが「石敢當」です。石敢當はマジムンが最も苦手とする魔除けのため、たとえ曲がり角であっても石敢當があるとその場所を避けて進むのだそうです。

あの世でしか使えないお金がある

沖縄では、あの世でもお金が必要なのだといいます。なんでも人が亡くなると最初に通る場所が「死者の役所」と呼ばれる場所らしく、亡くなってからもすぐにお金が必要になるそうです。しかも沖縄では、あの世でもこの世と同じような生活をしてご先祖様は過ごしているのだそうです。

もちろんあの世であっても、この世と同じように働かなければ食べていくことはできません。そのためご先祖様たちは、昼間は畑仕事や針仕事などをして過ごしています。しかも家の近くには、この世の世界と同じように商店やスーパーなどもあるのだとか…。そのためあの世に行っても、ご先祖様にはお金が必要らしいのです。

ところがあの世のお金は、この世のお金と全く違います。それが沖縄ではメジャーなあの世のお金「ウチカビ」です。

ウチカビ

あの世もこの世も、お金はあるだけあった方が何かと困らないものです。だからご先祖様が一斉に家に戻ってくるお盆になると次のお盆がくるまでの一年分のウチカビを準備し、ご先祖様があの世に帰る直前にお土産に持たせるのだといいます。

ちなみにあの世のお金であるウチカビは、沖縄ではスーパーやコンビニなどでも気軽に購入することが出来ます。こちらの世界では1束数百円で買えるウチカビですが、あの世に行くと1束のウチカビがこの世のお金の価値の数百倍、数万倍にもなるそうです。

北枕よりも西枕にする方が縁起が悪い

昔から日本では「北枕にして眠るのは縁起が悪い」といわれています。これは日本に仏教が定着していることに由来しており、「北枕=死者の安置」とされているからです。仏教で死者を北枕に安置させる理由は、お釈迦様が入滅(釈迦入滅)した時に北枕であったことに由来するといわれています。日本のお葬式は多くは仏式で行われるため、「北枕は亡くなった人を安置する時にするもの」という意味で縁起が悪いとされています。

ところが沖縄では、亡くなった人は北枕ではなく西枕にする風習があります。沖縄で死者を西枕にする理由には諸説あるのですが、その中の一つに琉球王朝時代のある思想が関係しているという説があります。

沖縄は「琉球王国」という独立国でした。そして国の象徴かつ最高権力者が王様です。さらにいうと当時の人々は太陽を神さまとして考えており、琉球の王さまは太陽神であると考えられていました。

さらに太陽が昇る東の方角を「上がり」とよび、東の海の彼方には神さまの住む世界があると考えました。その反対に太陽が沈む西の方角は「入り」と呼ばれています。このことから沖縄では死者が出ると西枕にして安置をし、生きている間は北枕よりも西枕の方が縁起が悪いとされています。

地元のテレビやラジオでは「今日は旧暦の○月○日」とアナウンスする

沖縄のローカルテレビやラジオのオープニングでは、ちょくちょく「今日は旧暦の○月○日です」というアナウンスが入ります。全国ネットのテレビやラジオではほとんど聞かれないアナウンスなのですが、沖縄ではこのアナウンスを入れることに重要な意味があります。

沖縄は今でも昔ながらの伝統行事が数多く残っています。盆や正月以外にも、豊年祭や土地の神さまへの祈願祭など、一年を通して何らかの行事があります。ところがその行事は今でも旧暦で行われるのが一般的です。

旧暦は天体の位置などをもとに計算されているため、毎年少しずつ異なります。さらに新暦との時間差も年ごとに異なるため、去年のスケジュールが今年の旧暦のスケジュールと同じということはありません。

とはいえ沖縄の人々にとって年中行事は生活に密着しており、特にご先祖様の供養にまつわる行事は一族総出で行う重要な行事として欠かすことが出来ません。でもこうしたご先祖様の供養をする行事も、すべては旧暦で行われています。そのため一般社会においてはほとんど必要がない旧暦のアナウンスも、沖縄県民にとっては大切な情報となっているのです。