沖縄では死後33年経つと神さまになる

普段から神様やご先祖様への祈りを欠かさない沖縄では、あの世の考え方も、仏教のあの世とはちょっと違っています。なんでも、死後33年がたつと神さまになる沖縄。その世界を少し覗いてみましょう。

葬式

あの世でも働かなければいけない沖縄のホトケ様

「死んだあとくらいのんびり過ごしたい」と思うのが、日々、生活に追われる私達の本音。でも、沖縄のあの世は、あまりのんびりとしていられないのが現実のようです。

あの世では畑仕事が待っている?

沖縄のあの世というのは、ご先祖様が暮らす世界。神様が暮らす世界の一つ手前にあるといわれており、そこでは、こちらの世界と同じような景色が広がっているといいます。

あの世には、こちらの世界と同じような家や畑、商店などもあり、ご先祖様たちは、こちらの世界と同じような暮らしを基本的にしていると云われています。かつて沖縄では、畑仕事が主な仕事でしたから、あの世のご先祖様たちの多くは、畑仕事をしながら毎日を過ごしているのだとか。

もちろん、一日中畑仕事をしているわけではありません。畑仕事の合間には、ご先祖様同士で集まって、お茶を飲みながら井戸端会議を楽しむこともありますし、女性のご先祖様の場合は、針仕事をしていることもあります。

そんなわけで沖縄では、人が死ぬと、棺の中にあの世のご先祖様へのお土産をたくさん持たせる風習があります。それが、畑仕事をするご先祖様用に汗拭き用の白いタオル、仕事の合間の休憩時の差し入れにお茶や茶菓子、昔の人の大人のたしなみであったタバコなどです。これらは、あの世のご先祖様が喜ぶお土産と言われていて、地域によっては、お土産を1人分ずつ半紙や白いタオルに包み、渡してもらいたいご先祖様の名前を表に書いて、故人に持っていってもらうところもあります。

49日までは家とお墓を行き来するホトケさま

沖縄では、49日までは亡くなった人の魂が自宅と墓を行き来するといわれています。そのため、仏壇の前には、亡くなった人のための着替え一式を四十九日まで供える風習があります。地域によっては、七日ごとに服をハンガーにかけ、仏壇の横に飾っておくところもあります。

お墓の中でも新入りのホトケさまは大変

沖縄では、門中墓(ムンチュウバカ)といって、一族が共有して管理するお墓があります。大きな門中墓になると、一族の単位が100人単位になることも珍しくなく、中に納められているご先祖様の数も相当数になります。もちろん、お墓の中に納められているご先祖様には順番があり、先に亡くなったご先祖様ほど、墓の一番奥の方に安置されます。

これだけ大きなお墓ですから、お墓を守るための門番が必要になります。その仕事を担当するのが、新入りのホトケ様です。

次の門番が来るまで頑張り続けるホトケさま

お墓の中で門番となるホトケ様は、墓の入り口に一番近いところに安置されます。ここで、墓の外からの侵入者を追い出したり、魔物が入ってこないように見張りの役割をしていると云われていて、この門番の仕事は、次にあの世の世界にやってくる新しいホトケ様が来るまで続くそうです。

不用意に墓を開けると頭をたたき割られる

墓の扉を不用意に開けるということは、沖縄だけでなくどの地域でも非常識なこと。でも、沖縄のご先祖様に対してそんなことをしてしまうと、とんでもない仕返しを受けてしまいます。

沖縄では、墓を開けてはいけない日というものがあるのですが、この日は、ご先祖様たちがゆっくりとくつろいでいる日といわれており、たとえ納骨が目的だったとしても、墓を開けるとご先祖様の怒りを買うと言い伝えられています。ご先祖様が怒るとものすごく怖いらしく、墓の中に入ってきた人間の頭を棒で叩き割ってしまうのだとか…。

そのため、事情があってどうしても墓を開けなければいけない時には、洗面器を頭にかぶって、ご先祖様から頭をたたき割られるのを防ぐ風習があったといいます。

お盆に納骨すると喜ぶホトケさまがいる

沖縄にとってお盆は、お墓にいるご先祖様たちが、懐かしい我が家に帰ってゆっくりと過ごす期間といわれています。ところが、門番をしているご先祖様は、墓の見守りもしなければいけないため、ゆっくりとわが家で過ごすこともできません。

そのため、お盆の期間に新しいホトケ様がお墓の中にやってくると、「新しい門番がやってきた!」と喜んで迎えてくれるのだとか…。沖縄では、あの世の世界も結構大変なのです。

33年忌でようやく神さまになる沖縄のホトケさま

あの世についてからも、畑仕事をしながらご先祖様達と仲良く暮らしていく沖縄のホトケさま。そんなホトケ様が、いよいよ神さまになる日というのが、33年忌法要です。

沖縄では、33年忌法要のことを「大焼香」と呼びます。これは、弔い納めという意味もあるのですが、沖縄では、この日をもってホトケの存在から祖霊神になるという意味の方が強く、親族一同が集まり盛大な法要を行います。

33年忌法要の時にだけ使う特殊な紙

沖縄では、仏壇やお墓の前で、あの世のお金であるウチカビを焚く風習があります。これは、法事だけでなく、盆や正月等先祖供養の日にも行います。この時に使われるウチカビは、特に違いはなく、現在ではスーパーやコンビニなどで市販されているウチカビを使うことがほとんどです。

ところが、33年忌法要の時には、ウチカビとは異なる「ウティンジカビ」という特別な紙を使います。ウティンジカビは、33年忌法要の供物としてお供えし、法要が終わったら、ウチカビと同じように庭などで焚きます。

ウティンジカビには、エンマ大王の化身と言われている地蔵菩薩の絵が描かれていますが、仏教や神道でウティンジカビを使うことはありません。ですが、不思議なことに、かつては県内のお寺でウティンジカビを作っていたそうです。

なぜか需要が減らないウティンジカビ

最近では33年忌法要まで行わない家庭が増えているので、33年忌法要のためのウティンジカビは需要が減っているのではないかと思いがちなのですが、どうやらそうではないようです。

もともとウティンジカビを使うのは、沖縄の民間信仰の巫女であるユタ。ユタは、一人ひとりが異なる神様と直接契約を行っていることもあり、それぞれのしきたりや供養の方法などが異なるのですが、最近では、33年忌以外の法要や日々の拝みでもウティンジカビを使うユタが増えているらしく、相変わらずウティンジカビの需要はあるのだといいます。